ワインが、これから数十年先も愛され選ばれる存在になるには、若者にその魅力を伝えていく必要があります。
しかし、“ワインは奥深き崇高なお酒”というイメージばかりを押し付けてしまうと、若者にとってより近寄りがたいお酒になってしまうだけでしょう。
頭では理解している、しかしワインを伝えるとなると小難しくワインを伝えてしまう…。
そんな、ワインのプロも多いはずです。
そんな中、2026年9月12日(土)に大学生たちが自らの力で企画・運営した、“同年代の若者”へ向けてワインを発信するワイン初心者向けイベントが長野県小諸市で開催されます。
ワインの世界に触れて間もない大学生たちが、ワインとの新しい出会いを同じ年代の若者へどのように伝えていくのか。
今回、ワイン初心者向けイベント「My First Wine Party」を企画・運営する杏林大学大熊ゼミの大学生にインタビュー。
大学生が考える、ワインを若者へ伝えるためのアプローチ方法などについてお聞きしました。
「My First Wine Party」企画までの道筋

「My First Wine Party」を企画・運営するのは、杏林大学 外国語学部の大熊ゼミナール4年生で、チーム名は「Team Salute -チーム サルーテ-(※以下、Salute)」。
チームメンバーの天野日菜子さん、藤森愛里さん、森晴奈さん、廣井りおさん、神崎優梨奈さん、安部結梨奈さん6名が「My First Wine Party」開催に向けて日々奔走しています。
今回、お話をお聞きしたのは、森 晴奈さん(写真:左)、天野日菜子さん(写真:中央)、藤森愛里さん(写真:右)の3名。
このプロジェクトに携わる以前、ワインは「大人が飲むお酒」、「ハードルが高いお酒」、「日常的に飲むお酒ではない」というイメージ。
自宅で親御さんが飲んでいるお酒ぐらいの印象、味も知識もない。
なぜ、彼女たちは数あるプロジェクトの中でワインに携わろうと考えたのでしょうか。
天野「実家が昔酒屋だったこともあり祖父がワイン好きだったんです。大人になったら一緒に飲もうと言われていたので、ワインに詳しくはなかったのですが興味を持っていたので第一希望として選びました。」
森「家族がワイン好きで、ワインセラーがあるほどです。叔父がソムリエをしていたこともあり、とりあえずお祝い事などで出てくるたびに教えてくれるのですが、知識もない私はただ難しい情報を浴びているだけ…。それでも、どこか“格好いいな、すごいな”という気持ちは感じていました。」
藤森「大学2年生の頃にオーストラリアに留学していたのですが、ホストマザーが毎晩赤ワインを飲んでいたんです。また、友だちと会えばワインをすすめられる機会が多くワインに自然と興味を持つようになり、ゼミでもワインの企画をしたいと手を挙げました。」
ここでのポイントは、3人とも「ワインにおける原体験」を持っていたこと。
そして、どこか大人のお酒、難しいお酒、でも憧れはあると感じていたところです。
そんな彼女たちは、どのようにワイン主軸にした企画をスタートさせたのでしょうか。
ゼミ合宿で知ったワインの奥深さ

「大熊ゼミには複数のプロジェクトがあるのですが、そのひとつにワインがありました。ワインに興味ある人がそのプロジェクトに参加し、その中で『Salute』を結成した流れです。」
大熊ゼミのプロジェクトは外部と組んで取り組むかたちで進められており、ワインは長野県観光機構と縁がありスタートしたといいます。
「昨年夏、長野県小諸市でゼミ合宿を行った際、東御市と小諸市を中心に長野県のワイナリーを訪問させていただきました。
ワイナリーの方にお話しを聞き、そこで生まれたワインを飲ませてもらう中で、“若い人にもっと飲んでもらいたい、知ってもらいたい”という強い気持ちが生まれたんです。
ワインをまるで、我が子のように伝えてくれる生産者さんたちの想いとワインに宿るさまざまなストーリー。
このワインの奥深さや魅力がまだまだ消費者に伝わっていない、早い段階で若い人たちに飲んでもらえば、きっとワインに強い興味を抱いてくれるのではないか。皆で話し合う中で、この体験をきっかけに若者に向けたワインパーティーを企画しました。」
ちなみに、「My First Wine Party」で提供されるのは、「スタラス小諸」のワイン。
合宿で、長野ワインに触れた彼女たちは、「日本ワイン」におもしろさを感じたそうです。
「ワイン自体は海外のお酒としてブランディングが確立していると思います。
一方、日本ワインは新しいつくり手が増えている印象で、よい意味で未完成、まだまだこれから発展を続けていくといった印象です。
実際に現地を訪れてみて面白さ、土地それぞれの魅力、人とのつながりを感じることもでき、また訪れたいと思わせてくれます。ブランディングの可能性はまだまだある、そんなおもしろさを感じました。」
また、つくり手の話を聞いた後に飲むワインは、感動と奥深さを感じたとのこと。
この体験も、若者に伝えていきたいとのことです。
伝える側の難しさ、それを覆すプロム風という発想

ワインを伝える側となった今、彼女たちはどこに難しさを感じているのでしょうか。
「私たちがそうであったように、若者はワインへの固定概念がどうしてもあると思っています。
それを壊していくのは、本当に難しい。
だからこそ初心者向けのワインパーティー「My First Wine Party」を企画したのですが友人に伝えると、“大人ばかりが参加するのではないか?私たちのような学生が参加して良いのか?”と、参加自体を不安視する声が少なくありませんでした。
“ワインは大人のお酒”。この固定概念を覆すことが、私たちの課題だと感じています。」
そこで、彼女たちがたどり着いた答えが”プロム風ガーデンパーティー”だったとのこと。
「今回のイベントを企画しているのは大学生だからこそ、大学生に広めていけるような内容にしたいと考えました。
自分たちがワクワクしなければ、楽しいイベントを作り上げることはできません。日本では、あまりプロムになじみがありませんが、海外では高校生や大学生における交流が生まれる場として認識されています。
日本でも、特別感のある空間でワインを交えた交流の場を設けたいという思いからプロム風として内容を進めています。」
一般的なワインパーティーではなく、若者が交流する場である“プロム風”がユニークな発想です。
自主的に運営することで若者目線へ

「My First Wine Party」は、長野県観光機構と小諸市のワイナリー施設「スタラス小諸」と連携して開催されるものですが、関係者の支援のもと、企画や運営、広報活動などを主体的に担うのは「Salute」の彼女たち。
今回、長野県観光機構や『スタラス小諸』の小船さんなど関係者と、ミーティングを重ねながら開催に向けて調整していったとのことです。
「今回の企画で、最も苦労したのが料金設定でした。“ワイン”を主役にしてしまうと参加費がどうしても10,000円を超えてしまいます。
私たちのイベントの参加費は、大人6,000円、学生4,995円です。
一般的なワインパーティーであれば10,000円以上の料金設定はよいのかもしれませんが、正直私たち学生にとってハードルが高い料金設定です。
どうすれば料金を下げられるのか、何を削るべきなのか。
長野県観光機構や『スタラス小諸』さまと相談しながら、体験コーナーの選別、提供するワインの種類なども相談しながら、クオリティとコストのバランスを考慮したうえで今の料金設定に着地できました。
関係者皆さまのご協力あってこそですが、自分たちでも“この価格でここまでできるの?”と驚いています。」
ワインは大人のお酒というイメージの背景には、“価格が高いお酒”という要素もふくまれています。
“これだけのクオリティなのだから、この料金設定は仕方がない。わかる方に来てほしい”ではなく、“若い方が訪れやすい料金設定で、なおかつワインの本質を理解し楽しめる場にできるのか”を模索し続けたことに、このイベントの大きな可能性を感じます。
「My First Wine Party」について

ワインについて、知識も飲用経験も少なかった杏林大学 外国語学部 大熊ゼミナール4年生の6名が、ワインを伝える側となり開催される「My First Wine Party」。
一体、どのような内容で構成されているのでしょうか。
「まず、11時から14時までという開催時間に意味があります。当初は夜間での開催を予定していましたが、県外からのお客さまに訪れてほしいという思いから日帰りできる時間設定にしました。
遅くなると宿泊費もプラスされてしまい、参加ハードルが格段に高まります。次に、体験内容も豊富です。ワインは飲み放題なので飲み比べで楽しめること、『スタラス小諸』KOMOJINの方がたの協力で地域食材を使用したフードをブッフェ形式での提供します。
ワインとフードのペアリングを楽しめるような内容を練っています。」
また、会場ではオリジナルコルクキーチェーン&ブドウの葉のしおりづくりやトークショーも開催。
トークショーには、「小諸市農ライフアンバサダー」に就任した元E-girlsの武藤千春さんも登壇するなど、ここでしか聞けない話が楽しめるとのことです。
ちなみに、提供予定のドリンクがこちら。
- STARRACE CIDRE 2025
- en Merlot 2023
- en Chardonnay 2024
- en Pinot Noir 2024
- ぶどうジュース(ノンアルコール)
- りんごジュース(ノンアルコール)
もちろん飲み放題、さらにぶどうジュースはワイン用ブドウを使用したものです。
そのほかには、同イベント参加者には長野県内の温泉・観光施設・飲食店などで利用できる特典チケット「信州物味湯産手形 スタンダードプラン」をもれなくプレゼント。
「スタラス小諸さま、長野県観光機構の皆さまのご支援もあり、イベント参加者には『信州物味湯産手形 スタンダードプラン』をプレゼントさせていただくことになりました。
ワインを目的にするのはもちろん、小諸市に再訪してほしい。
そんな思いがありました。
また、当日は駐車場のご用意もありますが、アルコールを提供するので小諸市の周遊バスのご利用を推奨しております。」
当日、「Salute」のメンバーも活躍するようなので、見かけたらぜひ気軽に声をかけてみてはいかがでしょうか。
若者がワインに触れるためのアプローチについて

若者は、ワインに対してどうしても固定概念を抱いてしまうものです。
ワイン側から若者に歩みによる場合、どのようなアプローチが効果的だと考えられるのでしょうか。
森「ワインは、知識というところでハードルが高いと思っています。本来、嗜好品であるワインだからこそ、入り口は楽しむ・おもしろいからがベストではないでしょうか。今回のイベントも、ワインのストーリーに自分自身を照らし合わせる機会を設けるなど、体験とつながりをメインで企画設定しています。飲み比べでハードルを下げること、正解を提示せずに、自由に楽しめることを若者に伝えることが大切だと感じています。」
藤森「缶ワインの発想はおもしろいと思います。軽く開けてサッと飲める気軽さは嬉しいです。スーパーマーケットやコンビニエンスストアで、缶ワインが多く並んでいればサワーのように同じ選択肢に入ってくると思います。それが日常となり、“今日はサワーじゃなくて、ワインでもいいかな?”という選択になるのではないでしょうか。ただ、ワインの魅力である香り。この部分は、缶ワインだとむずかしいかもしれないですけど…。」
天野「レストランに行ったときなど、ワインを選べと言われてボトルを見ても全くわからないんです。ラベルに端的な味わいの情報が記載されているなど、ワインに触れるようになったからこそ、初心者にもわかりやすい伝え方でラベルデザインしても良いのかなと思っています。」
また、SNSに関してはワインを全面的にアピールするのではなく、「料理をメインにしたアカウントながら、その横に毎回ワインがある」という形で、「〇〇×ワイン」の投稿だとワインに興味をそそられるという意見もありました。
まずは、知識や飲み方のハードルを下げて若い方にワインを知ってもらう・飲んでもらうことを意識する必要がありそうです。
まとめ

乾杯を意味する「Salute」というチーム名には、“乾杯から交流を生み出したい”という想いが宿っているとのこと。
「『My First Wine Party』は、若者向けとして企画されたイベント。ワインを知ることはもちろん、ワインを通じて自分の“好き”を見つけたい方も大歓迎です。皆さまのご来場をお待ちしています。」
大学生が、若者たちのために企画・運営・開催するワインパーティー。
ワインを若者に広げるためのヒントが、ここで発見できるのではないでしょうか。
参考
イベント概要
・イベント名
My First Wine Party ~ワインと出会い、人生に新しい彩(いろどり)を~
・開催日時
2026年9月12日(土)
11:00~14:00(受付開始 11:00)
・会場
STARRACE KOMORO(スタラス小諸)KOMOJIN
〒384-0043 長野県小諸市諸東房151-1
・定員
最大50名(最小催行人数25名)
・対象
年齢制限なし
※未成年の方にはリストバンドを着用していただきます。
・チケット概要
・参加料金
大人:6,000円(税込) 学生:4,995円(税込・学割適用)
・申込方法
予約サイト「Peatix」よりお申し込みください。
・学割について
学生料金をご利用の場合は、Peatixの「割引コード入力」欄に「学割」と入力してください。
・※当日、学生証をご提示いただく場合があります。

