ビーズニーズヴィンヤード(茨城)

2018年8月1日取材 

 今村ことよ(代表) 


-かつて製薬会社にお勤めされていました。そこからワインの世界へ来られたわけですが。

 今村 2006年くらいからワインに唐突にはまりました。1年でエキスパートの資格を取ったくらいです。ワインに携わる仕事をやってみたいなと頭の片隅にはありながらも仕事に不満がなかったのでそのまま時が過ぎていきました。そんな中で、きっかけはカーブ・ドッチの落さんが書いた「僕がワイナリーをつくった理由」を読んだことです。それ以来、日本のワイナリーを真剣に巡ることになりそこでリュード・ヴァン(長野)に辿り着きました。実際に研修に入る一年前には月二回リュード・ヴァンにお邪魔して栽培と醸造の現場を見せてもらっていました。会社を辞めたのは40才の時です。1年半リュード・ヴァンでの研修を経て、2015年1月から、こちら(つくば)に来ました。3月に苗植えだったので2ヶ月の間、土地の整地を行いそこからノンストップです。  


-栽培&醸造はリュード・ヴァンさんで修行されました。 

今村 はい。基本はリュード・ヴァンさんで学びました。ただ自分なりに考えたことを調べて実践しているので、習ったことをそのままというわけではありません。

 -つくばがお好きだった。 

今村 本当にいいものを追い求めるのであれば日本でなくていい。海外に適した場所はいくらでもあります。ただ、自分は日本が好きだし、つくばに帰ってきたかった。「ものを作る」を目指して製薬会社に入りましたが何かプロジェクトを進めるとかよりは、もの作りの最上流にいたかった。ワイナリーをやればつくばに戻ってこれるのではないか、そう考えました。 


-このあたりに適しているブドウというのがありますか? 

今村 まず、つくば山麓だけ土壌が特殊です。パッとみた時に土が黒くないです。花崗岩土壌。もともとは火山由来の岩石で水はけがやたら良い。ミネラル分も多いのです。そして基本的に暑いです。酸が抜けにくい品種が夜の温度が下がらない関東が目指すブドウなんだろうと考えています。暑い地域でも栽培されているブドウをうちは植えています。オーストラリアのハンターバレーというちょっと亜熱帯にかかるような地域でやっている品種が、シャルドネ、セミヨン。セミヨンは貴腐を造るわけではなくて、早飲みのさっぱりとしたシーフードと合わせるさらっとしたものを造ります。摘むのは一番最初です。糖度が上がってなくても嫌みな香りが出ません。赤はシラーがいいというのは、やっぱり酸が抜けにくいからというのは育てて分かりました。赤は半分がシラー。残りはカベルネが3割。あとメルローが1割。他はタナとプティヴェルド。メルローやカベルネは酸の抜けが早いですね。 


-栽培で難しいところは? 

今村 基本的に病気を出さないようにということであれば農薬をがんがんやれば病気は出ないのです。ただし、それでどういうワインができるか。極力減農薬でやるというのは木の抵抗力をつけることです。一概には言えませんが、減農薬や無農薬にチャレンジされている生産者のワインは“よく香る”気がします。生物学や化学をやっていたので香りは抗菌物質由来かなと考えています。農薬使えば管理は楽ですけど、これくらいの規模だったらどこまでできるか突き詰めていきたいですね。 

-ひとりで畑を見られています。 

今村 ひとりで見れる限界が、1ha 4000本と言われています。うちは、1.5haに4000本。とりあえずこれ以上増やす考えは今は無いです。 

-去年(2017年)のファースト・ヴィンテージはリュード・ヴァンさんで委託醸造された2本。赤が「オーバードライブ」白が「スパイラル」です。

 今村 名前はイメージです。スパイラルのほうは、生物学出身なので螺旋のイメージもあります。オーバードライブのほうは、暑い地域で作るので力強いパワフルなワインになるだろうという思いからです。2017年は若木ということもあり軽めになって意図しているものとちょっと違いました。これから頑張らないとですね。  


-「ビーズニーズ」の由来を教えてください。

 今村 1920年代にアメリカで作られた造語です。100年たっても「ビーズニーズ」はエクセレントやグッドという意味で使われています。六所(地名)でやっているので六角形を使いたかった。後は、ハチのように一生懸命働こうと(笑) 

-もともとは2020年をメドに醸造設備の設立を考えられていましたが。 

今村 いろいろ他で委託醸造のメドがついたこともあり、はやくても2023年 くらいに延長します。結局、人を雇ってまでするのかどうか、考えています。やりたいなのは何かを考えた時に、それはワイナリー経営ではなくて、私は畑に出てそれを仕込みたいだけなんです。 

-栽培と醸造、今村さんはやはり栽培に思いが強いですか 

今村 どうしても時間が取られるのは栽培ですからね。醸造だけやっていたいなら私はワインではなくビールをやっていました。だけど、ワインの醸造はそこに至るまでの果物があって成り立ちます。みんな言っているように7~8割はブドウの出来で決まる。そう言うからにはどういうところにどういうブドウを植えてからはじまって、どういう栽培で、どう手をかけてきてできたブドウか。それを醸す時には、もうテクニックではないなと。自分で栽培したブドウを醸す時は、テクニックではなくてよりシンプルに最終的に手間をかけずに着地させるほうが自然なんだと思います。

 -将来の展望は 

今村 「ビーズニーズ」として名前が残ることはけして良いとは思っていません。将来もブドウが獲れるなら海外と同じように売り買いすればいいと思っています。買った人が自分のドメーヌなり、ワイナリーなり、好きなようになればいい。自分が動けるうちは自分でやりたい。ただ、それだけなんです。

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