兎田ワイナリー(埼玉/秩父)

2018年5月18日取材 深田和彦(代表) 

-ワイナリー設立までの経緯をお聞かせください。 

深田 自分が中学まで実家でブドウを作っていました。もう40年以上前の話ですが、その時にブドウを獲って食べたという記憶がまず根底にあります。 親父の友達などブドウ生産者のつながりもあって、秩父のブドウでワインを造りたいという願望は昔からありました。25年前、地元秩父の矢尾本店(注・「秩父錦」の日本酒蔵元)がワインも造り始めて、委託醸造という形で知り合いの秩父産ブドウを使ってワインを造っていました。その矢尾本店さんがワイン造りから撤退することになり、それであれば自分でワイナリーを造って生産を継続しようと思いました。ちょうど国の助成金や秩父市などの協力も得られて具体的に話を進めることができました。今の自社畑があるところはもともとは大豆を作っていたんですがブドウに植え替えさせてもらいました。それが7年前です。そして4年前に醸造施設を作りました。綺麗ごとを言わせてもらえば、秩父のブドウの魅力にとりつかれたということです。マスカットベリーAがどんな年でもある程度いい色が出る土壌・気候。それがあれば勝負できると確信しました。秩父は寒暖の差がある。まわりに高い山もない。ワイナリーのある吉田地区は秩父の中でも雨が少ないところです。ワイナリーの前を走る道路は「フルーツ街道」と名付けられているように歴史的にも果実の栽培に適した場所になります。


-秩父市吉田地区の中でも、兎田(うさぎだ)という場所にワイナリーがあります。

 深田 土地の名前にあるように、その昔、相当ウサギがいたようです。今でも朝早くなど野ウサギを見ることがあります。  

-この土地のブドウの産地としての可能性をいかがでしょう。 

深田 基本的に粘土質になります。ですので粘土質に適したブドウ品種、マスカットベリーAが秩父では古くから栽培されていました。日本固有のワイン用ブドウ品種としてマスカットベリーAが有名ですが、ここ秩父はスカットベリーAの栽培地として日本、つまりは世界を代表する場所になる可能性があります。  


-ブドウはギイヨで栽培されていますね。 

深田 コルドンは管理は楽ですが5年くらいたってくると根元の方から芽が出てこなくなる場合があります。誘発剤をつけて芽を出す。それはやはり不自然ですし、毎年毎年、新しい枝から芽を出させるギイヨの方が安定した収量を得るために必要だと判断しました。大体30年は収穫できるという想定のもとにやっています。1メートル間隔で植えていますが樹性の強いマスカットベリーAには 厳しいかもしれません。マスカットベリーAは棚式の契約農家さんは1本の樹から800房くらい収穫しています。獲ってる割には品質が良いのでマスカットベリーAは棚式に向いていると思います。ただ、まだ5年目です。10年くらい見てみてやっぱり垣根式が良かったねとなるかもしれません。  


-栽培農家さん、特にワイナリーの近くに畑を持っていらっしゃる引間さんのベリーAが特別良いということですが 

深田 土壌などはうちの自社畑と特に変わりはありません。特にいい条件とは思わないのですが毎年毎年、引間さんのベリーAは色、大きさなど、ひと目みただけで違うことが分かります。もう25年の付き合いになりますが、とてもレベルの高い生産者です。  


-今後、契約農家さんは増えていく予定ですか? 

深田 メルローを作っている農家さんにビジュノワールを今、お願いしています。純ヨーロッパ系よりも日本の特色を出せたらと。あとはナイアガラを作ってもらいたいなと思って、五反歩くらい増やしてもらっています。  


-醸造家としてどのような信念をお持ちでしょう 

深田 とにかく秩父はブドウがいいのです。ブドウが良ければ普通に作って、普通に良いワインができます。それは昔から自分が思っていることで、そんなに醸造にこだわって云々というよりも、ブドウにこだわりたいなと。ブドウの力を引き出す、それだけです。それは引間さんのブドウを使って特に感じています。山梨のブドウを使っても引間さんのブドウようなワインができない。秩父のブドウにこだわりたいです。引間さんのブドウは醸造は同じ造りをしているのですが毎年毎年濃くなっていくんです。長年ワイン造りをしてきていますが、その引間さんの生産者としての魔法みなたいなものが今でも分からないところです。  


-引間さんご自身は、特別なことはやってないとおっしゃるんですか? 

深田 そうなんです。性格がすごい真面目。固い人なんです。やることはしっかりとやる人。手を抜かないということはあると思います。引間さんを追っかけていますけど、なかなか追いつけないすごい生産者さんです。 

-目標とするワイン、ワインメーカーはありますか? 

深田 目標は・・・アンリ・ジャイエです。DRCではなくジャイエの系統のああゆう酒質を求めたいと思っています。樽とのバランスがとてもいい。樽の負けない酒質。全く同じにはできないでしょうが、味的に近づける努力をしていきたいと思います。   


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