東京ワイナリー(東京)


2018年3月16日取材 

越後屋美和(代表) 

-ワイナリーを造られる前は? 

越後屋 太田市場の野菜の仲卸をしていて開発部というところにいました。「東京の野菜を東京の人に。都産都消」ということをやっていこうという部署でしたのでここで東京の野菜に初めて出会ったということになります。当時は東京に野菜はあるのか、農地はあるのかということ自体知らなかったですし、美味しいのか?という感じもあったんですけど初めて来たのがこの大泉学園(練馬区)でした。15、6年前です。初めて東京の農家さんというのに会って、住宅地の間の狭いところでやっているんですけど、狭いところでやっているからこその手の掛け方というのがあって、こんなに都内の野菜って美味しいんだなって初めて知って、私みたいな何も知らない人に届けたい。知ってもらいたい。東京の人だからこそ東京のものを大事にしてもらいたい。自分で独立した時に何かそういうことができないかと思った時に、農家さんのつながりがあって、食とか農家とか、人間の根本のところをやりたいなと思ったんですね。もともとワインが好きだったこともありますし、ワインは農産物100%で造られるということもあり面白いと思いました。  特に地元の野菜ですね。地元の農産物といっしょに食べ合わせるワインをコンセプトにやりたいなとそう思ったのがきっかけです。  


-野菜に携わっていた中でワインを選ばれたのはワインが好きだったから? 

越後屋 そうですね。それもありますが、当時、クラフトビールが結構、はやっていたりして、東京にはクラフトビールというのがあるけれど地ビール、地元のビールとはちょっと言えないんじゃないかなというのがありました。地元のお酒となるとやはり地元の農産物。それで造れるワインって、面白いんじゃないかなと思いました。私はワイナリーを小さくしたような施設ではなくて、地ビールの醸造所のようなワインを造る場所があったらいいなと思いました。町の人たちがふらっときてそこで造られているものを飲む。そういう場所を作りたかったのです。 


-この場所(大泉学園)に決められたのはなぜですか? 

越後屋 私の東京野菜の原点が大泉学園でした。ずっとここの農家さんと付き合ってきてご縁をいただいていた。23区の中でも練馬はすごく緑が多い、農地が多いところなんです。そういうところに都心の人に来てもらいたい。大泉学園でやるというのはそこしか考えていなく必然でした。 

-ここはもともと何だったんですけ? 

越後屋 新聞配達所だったんです。ワイナリーは設計して・・・というのがあるかもしれないですけど箱があって、その中でどう表現していくかを考えました。 


-原料となるブドウはどのような形で調達されていますか? 

越後屋 市場にいたメリットはもちろんあります。市場自体はいろいろなところの農産物を扱っていますし、有機などのこだわりの作りの農家さんなどのツテも得ることができました。やっぱり、自分が造るものなので好きなブドウで造りたいというのがあります。ですから「これが造りたい」という産地に自らおもむいて縁をつなげていったというのがあります。あそこのブドウ、もし良かったら紹介してあげるよとか、つなげてくださる方もいらっしゃって、どんどん人に話していく、いろいろな方にお世話になっていくというやり方でブドウを仕入れています。  


-醸造も経験のないところから始められました。 

越後屋 やはりご縁つながりで山梨のワイナリーさんや、広島の酒類総合研究所という研究施設などで研修しました。友人がナパにいてナパのワイナリーにもいきました。うちは小さいガラス容器(カーボイ)などを利用していますがああゆうのはナパのガレージワインのようなあったかさのあるワインを造りたいというところからやっています。  

-今や立派な醸造家です。 

越後屋 いえいえ。ワイン科学士や、いまではエノログ(醸造士)の資格もいただいていますが今でも学びは継続中です。経験が足らないからこそ、そういう(資格)のものを取っていって経験に活かしていきたいと思っています。 


-醸造家として東京ワイナリーのワインはこうありたいというのは何でしょう 

越後屋 私はブドウを栽培していてワイナリーをやるとか、そういう人達とはやはりスタンスが違うのかなというところがあって、私の中では「東京の農業の発信」というのがあります。それをやるための「ワイン」があるわけで、ただそのワインが美味しくないと発信できないことだと思っています。量より質を。自分が美味しいと思えるようなもの、自然の恵みを十分に活かしたワインを造りたいなと思っています。うちは「にごりワイン」というのを特徴でやっています。無濾過・無清澄のワイン。そういう自然の恵みをそのまま味わってもらいたいです。 


-特に苦労されたところは何でしょうか 

越後屋 そうですね。うちは種類(ワイン)がかなり多いんです。特に東京のブドウ、東京の農家さんはそれぞれの生産量が小さい。よって、複数の農家さんのブドウを仕入れることになります。時期になると、それぞれの農家さんのブドウを見に行かなければならない。買い入れの交渉もその都度ごとにおこないます。最初は3、4軒の農家さんから始まりいまではたくさんの東京の農家さんとつながっているのは幸せなことなんですが、ロットが小さすぎて作業量が増えてしまうというジレンマがあります。地方の農家さんだと大きなロットでブドウを仕入れて、それで500本とか1000本とかできるわけですが東京の農家さんのものだと30キロで50本とかそういうロットのものがたくさんでてくるのでそこが苦労しているところですね。生産者ごとの味を造りたいので、醸造後に混ぜることはありますが仕込みはなるべく混ぜずにやっています。結果、仕込みの回数が多くなるのは東京でやっていて大変だなと思うところです。 


-ワイン造り以外に趣味をお持ちですか? 

越後屋 旅行は好きですね。いろいろなところに行って新しいものを見たりとか、新しいものと繋がったりとか、新しいものを得ることが好きなんです。たしかに忙しいですが海外にも年に1回は行っています。ただ、どうしても行った先でブドウを見にいってしまいますね(笑)  


-食にこだわる越後屋さんですが、好きな食べ物ってありますか?

 越後屋 米が好きです。米の甘さみたいなところ、好きですね。新しい品種がでてくるとその違いを感じてみたくなります。  


-将来の展望はありますか? 

越後屋 地元のもの、東京のものというのは強いこだわりがあってやっています。ブドウの適地というところからすれば、東京は適地ではないと思いますがその中で生まれる味わいがあるんではないかと。そういうものをうまく活かした形でやっていきたいなということプラス、東京の農地がどんどん無くなっていく中で農地を残すひとつの理由としてブドウというのは面白いと考えています。東京でやる意味としては、都心から日帰りでくることができる。皆さんにいろんなことを知ってもらって、ワインってこういうふうにできるんだなっていうものを提供したい。その中で畑の作業とかいうものが日帰りでできるようになり、それがワインになるという循環が生まれたら素敵ですね。それは練馬だからできると思っています。   


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